自分の中には引き出しがたくさんあると うぬぼれていたのはついさっき。 でも、その引き出しは錆付いていて、 本当はずいぶんと前に使えなくなってしまっていて、 そうして毎月降る雨にしとって、 その中身すらもしとってしまって、 カビと一塊になってしまった古臭いノート、 そのノートに書いてあったはずの 昔々鉛筆で書いた落書、 そんなものも、きっともう、見えない。 引き出しをこじあける力もなくなった腕を 2つの穴がただ見下ろしている。 Novels INDEX
引き出しをこじあける力もなくなった腕を 2つの穴がただ見下ろしている。
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