ずっとずっと昔、彼は田舎へ行ったと
烏に連れていかれて
昔愛していた子犬の鎖を
このぐらい大丈夫だろう
――なのに、今も自分は変わらないのだ。
かあさんが辛い嘘をついた。
何もしなかった
かあさんが近所に謝っていることも知らなかった
そして食肉業者に連れて行かれた
ずっと一緒だった雄のにわとり。
屋上から落ちていった亀
水槽の中で溺死させてしまった、もう1匹の亀
手の中で冷たくなる小さな子猫
ほんのいっときだけ手放したとき
彼女をはねていった赤い車
そう思ったほんのささいな過ちが
失わせたのは
二度と戻らない小さな瞳。