Think11 think-11

毎日、少しずつ体の中から液体が流れだしていく。
それはどろどろとしていて、
流れているのにこびりついて、
決してこそげ落とすことはできず、
それをこそげ落とすこと以外のことが
考えられなくなって、
こそげ落とそうとしては飛び散るその液体が、
絨毯を汚していくことにも気づくことがなく

汚れが見えないどこかに行きたいと、
気が狂ったように窓枠にしがみつき、
そのまま窓枠で動けなくなり、
表に見えている春の景色を、
声を失った鶯と一緒に
手を伸ばすこともせずに、
ただ、わがままな子どものように
欲しがってわめき散らしている影が、
壁で1人芝居を続けている。

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